練習では気持ちよく入るのに、試合になると急にサーブが入らなくなる——テニスをしている方なら、誰でも一度は経験があるはずです。
多くの人はこれを「メンタルが弱いから」「練習が足りないから」と考えます。でも、コーチとして20年サーブを見てきた私の結論は少し違います。サーブが入らない本当の原因は、「考え方」と「基礎」の2つにあります。
この記事では、YouTubeで24,000回以上再生された動画「サーブが入らない本当の原因は?基礎から学び直そう」の内容を、詳しくまとめました。

この記事を書いた人:松田コーチ(SmartSwing.Pro/株式会社SmartRanch代表)
テニスコーチ歴20年・プロツアー帯同経験あり。神奈川・登戸で「勝者のサーブ塾」「勝者のフットワーク塾」を主宰。ジュニアから大学生まで100名以上のトッププレーヤーの練習・30名以上のトッププロの試合や練習を間近に見てきた経験を、一般プレーヤーの指導に活かしている。
YouTube「松田コーチの Tennis×Think」で上達の考え方を発信中。
試合になると入らないのは、あなただけではない
試合の最初のアップで「あれ、今日おかしいな」と思ったまま、気づいたら試合が終わってます…。



それ、ほとんどの人がそうなんです。アップで出たミスやコントロールのずれを放置したまま、5分後にいきなり良いサーブが打てるかというと——打てないですよね。
私がサーブ専門のレッスンを始めたのも、ここが出発点でした。アップの段階で出る「当たりの薄いミスショット」「コントロールできていない感覚」をそもそもなくさない限り、サーブは良くならない。そのためには、打ち方の前に「考え方」から変える必要があると気づいたんです。
発想の転換:サーブは「手品」と同じ
私はよく、サーブは手品に近いという話をします。
手品は、初めて見ると「わあ、どうなってるの?」と驚きますよね。でも実際には、種も仕掛けもある。すごいのは魔法ではなく、滑らかにできるようになるまで繰り返した技術です。そして手品師は「タネがバレたらどうしよう」ではなく、「驚かせてやろう」と思って演じています。
サーブも同じです。良いサーブとは、リターンする相手に「いいサーブだな」と感じさせるもの。つまりあなたは「見せる側」なんです。
見せる側…! 「入れなきゃ」って思うから縮こまるんですね。



そうなんです。「入れなきゃ」「打たれちゃだめだ」ではなく、「ちょっとすごそうに見せてやろう」。この気持ちで打つと変な緊張がなくなるので、練習でも試合でも確率が変わらなくなるんですよ。
考え方が整ったら、次は技術です。ここからは、サーブの土台になる4つの基礎を順番に説明します。
基礎①:グリップ——なぜ「コンチネンタル」なのか
グリップは、よく言われるとおりコンチネンタルグリップ(薄い握り)が基本です。ただ大事なのは、「なぜ薄い握りがいいのか」を理解していることです。理由は2つあります。
- 頭の上でラケットの先を動かしやすい——サーブはボールに当たる「ラケットの先」が頭の上で走ってくれないと飛びません。厚い握りだと後ろから上で動きが止まりますが、薄い握りなら後ろから前まで先が走り、スピードが出ます。
- 回転をコントロールできる——サーブは回転を自分の意思で操作できないと、ネットやアウトを調整できません。薄い握りは回転コントロールが一番やりやすい握りです。
実は私自身、ジュニアの頃は厚い握りでした。「こっちの方が力が入るじゃん」と思っていたんです。でも、それは次の「体の向き」が合っていなかったからでした。
基礎②:体の向き——「横向き」のまま打つ
たしかに、正面を向いたほうが力が入る気がします…。



その「気がする」が落とし穴なんです。正面向きで力が入る握りは厚い握り。ところが正面向きの打ち方は、高い打点では打てないんです。
腕相撲を思い浮かべてください。腕相撲は相手と正面で向き合わず、体の横で力を入れますよね。あの向きが、コンチネンタルグリップで一番力の入る形なんです。腰を横に向けたまま当てる——これだけでボールは自然に飛んでいきます。
よくあるのは、構えでは横を向いているのに、トスを上げて打ちにいく瞬間に体が前を向いてしまうパターン。これがサーブを打ちづらくしている元凶です。練習では「もう正面を向かない」と思うくらい、横向きのまま打つことを試してみてください。
基礎③:トス——手のひらではなく「指で持って、離す」
トスで悩む方は本当に多いです。「指に引っかかるから手のひらに乗せて上げましょう」という教え方もありますが、私の考えは逆です。ボールは指でしっかり持って、上げて、離す。持ち方が曖昧なほうが、かえって不安定になります。
もうひとつのポイントは肩から腕を振ること。肘から先だけでトスを上げると、支点からボールまでの距離が短いので、いろいろな方向に飛んでしまいます。肩を支点に、他の部分を使わずに腕を振ってボールを離す——この単純な動作を、同じようにできるまで繰り返すことが大事です。
トスが毎回同じ場所に上がらなくて、何度も上げ直しちゃいます。



実は、トスに神経質になりすぎるのも考えものなんです。サーブの上手な人でも毎回同じ場所には落とせません。多少のずれは体を動かして微調整して打っている。「完璧なトスじゃないと打てない」のは、トスではなく体の動かし方に原因があることが多いんですよ。
基礎④:スイング——振り下ろさずに「振り上げる」
サーブは「上から下に振り下ろす」イメージを持たれがちですが、力を入れるべき方向は逆です。肘を高い位置に保ったまま、振り上げてボールを打つ。
振り下ろす方向に力が入ると、ボールを打った後にラケットが加速するような、もったいないスイングになります。肘が下がるとボールに逆回転(アンダースピン)がかかり、強く打つほど伸びてアウトしやすくなる。逆に、ラケットの先を背中側に落として振り上げる軌道なら、ボールに順方向の回転がかかって強く打っても入る軌道になります。
肩甲骨まわりを柔らかく使って、肘を「下ろす」のではなく「持ち上げる」。地味ですが、ここがサーブの伸びを決めます。
野球経験者ほどハマる、投げ方の罠
私、野球をやっていたんですが…思い当たることだらけです。



野球経験者あるあるですね。投球動作とサーブは似ていると言われますが、決定的に違うのは「投げる方向」なんです。
野球はボールを前へ投げます。この感覚のままラケットを振ると、肘が下がってアンダースピンのサーブになってしまう。サーブで必要なのは、ボールを上へ投げる感覚です。
日本ではキャッチボールの経験がある人が多いぶん、この「前へ投げる」動きが体に染みついています。上へ投げる感覚に切り替えられるかどうかが、サーブ上達の分かれ道になります。
今日からできる、サーブ練習メニュー3つ
記事の内容を、そのまま練習に落とし込めるメニューにしました。次にコートに立ったら試してみてください。
- 横向き固定で20球——「絶対に正面を向かない」と決めて、横向きのまま打ち切る練習です。最初はスピードが出なくて構いません。横向きのままでもボールが飛ぶ感覚をつかむのが目的です。
- トスの反復10回——ラケットを持たずに、指でボールを持って、肩から腕を振って上げる。同じ高さ・同じ場所に連続で上がるか。膝や体の反動を使わず、腕の振りだけで上げられるようになるまで繰り返します。
- 振り上げ素振り——ラケットの先を背中側に落として、肘を高く保ったまま振り上げる素振り。「上へ投げる」感覚を体に覚えさせます。振り下ろしで終わる素振りとの違いを感じてください。
どれも地味ですが、この地味な反復が「手品の種」になります。滑らかにできるようになるまで繰り返した人だけが、試合で「すごそうなサーブ」を見せられるのです。
まとめ:サーブは「考え方→基礎」の順で変わる
- サーブが入らない原因は、メンタルの弱さではなく「考え方」と「基礎」
- 考え方:「入れなきゃ」ではなく「見せる側」に回る。サーブは手品と同じ
- グリップ:コンチネンタル。頭の上で先が動き、回転をコントロールできる
- 体の向き:横向きのまま打つ。正面向きの「力が入る気がする」は罠
- トス:指で持って離す。肩から振る。完璧を求めすぎない
- スイング:振り下ろさず、肘を高く保って振り上げる
考え方が変わると、同じ練習の効果が変わります。そして基礎が変わると、試合での確率が変わります。順番はこの通り、考え方からで大丈夫です。
サーブだけを2時間練習する場所があります|勝者のサーブ塾(神奈川・登戸)
考え方から変える、やってみたくなりました。



イメージが変わると、同じ練習でも効果が全然違います。サーブだけをじっくり練習する場所を用意しているので、ぜひ一度来てみてください。
「勝者のサーブ塾」は、この記事の内容を実際のボールとコートで体に落とし込む、サーブ専門の2時間レッスンです。バンバン打ち込む練習ではなく、考え方と動きをひとつずつ試していく時間なので、体力的にも楽に受けられます。
- 場所:神奈川県川崎市・登戸
- 初回スポット受講(1回から受講できます)
日程・料金などの最新情報は、レッスンシステムページをご覧ください。
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「サーブ塾 初回スポット受講希望」とご連絡いただければ、日程をご案内します。
よくある質問
Q. 肩が弱いのですが、大丈夫でしょうか?
A. 大丈夫です。当スクールは「肩に負担のないサーブ」を大切にしています。振り下ろすのではなく振り上げる打ち方は、肩への負担も小さい打ち方です。生涯テニスを楽しむためのサーブを一緒に作りましょう。
Q. サーブがまったくの初心者でも受講できますか?
A. 受講できます。むしろ変な癖がつく前に「考え方」と「基礎」から入れるのは大きなアドバンテージです。グリップの握り方から丁寧にお伝えします。
Q. まず何から直せばいいですか?
A. この記事の順番どおり、グリップ→体の向き→トス→スイングの順をおすすめします。特に「横向きのまま打つ」は今日の練習から試せて、効果を感じやすいポイントです。










