【テニスラケットのガット張替え】おすすめ時期をテニス協会公認コーチが解説

皆さんは、【テニスラケット】ガット(ストリング)の張替え時期って悩んだことありませんか?

・しばらく張り替えてないけどまだ使えそうだからなぁ…

・切れかけてるけど切れるまで使ってしまおう。

・3か月に1回は張り替えてって聞くけど本当はどうなんだろう?

そんな悩みに、テニス協会公認コーチが忖度なしで上手くなるためのおすすめ時期や張り替え方をお教えします。

 

 

マツダコーチ SmartSwing.Pro代表(テニススクール運営、テニス用品開発) テニス協会公認コーチ コーチ歴19年

テニス留学中、効率的に上達する指導法に出会い、その指導に特化したスクール運営に携わった後、ジュニア部門を立ち上げ独立。

YouTubeチャンネル スタテニの撮影に携わり常にトップレベルのプレーを間近にしている。実はスタテニの前進、小野田テニスクラブ生みの親。

効率よく上達するための練習方法と器具を皆さまに提案するため日々奮闘中。

マツダコーチ
ガットの張替えについて説明していきますね。
生徒さん
あまり深く考えたことなかったですね。解説お願いします。

切れていないガットを張り替える理由メリット

テニスラケットに張ってあるガット。実は切れるまで使えるものではないんです。張り替えると良いことばかりなのでメリットを解説していきます。

ガット(ストリング)には賞味期限がある。

ガットは常に20kg以上の力で引っ張り続けられている事はご存知ですか?

「○○ポンドで張り替えます。」という言葉を聞いたことがあると思いますが、ヤードポンド法の45ポンドはメートル法に換算すると20.4㎏の力でガットを引っ張りながら張っているんです。

1本の糸が20㎏の力で引っ張り続けられているので、素材は少しずつ伸びていき、テンションは落ち続ける。そうすると、だんだん素材の弾力が無くなり、反発力が落ちるためボールが飛ばなくなる。というわけです。

ガットの弾力性が無くなってくるタイミングが、ある計測機関の調査によると3か月程度という結果が出ています。この3か月という数字が現在は交換の目安として一般的になってきています。

飛ばないラケットでボールを打つことは無駄な力みを生む原因になり、上級者の様なスムーズなスイングが身につかないばかりか、弾力が無いため衝撃も強く、ひじを痛めやすくなる等、良いことは何一つない状態なので、こまめに張り替えるように心がけましょう。

 

スナップバックに注目!

また、ここ数年はスナップバックというガットの動きが注目されています。

ボールとガットの接触の瞬間をハイスピードカメラで撮影すると、ガットの弾力ではじき返すだけでなく、ガットの瞬間的な動きでボールに強力な回転をかけている事が分かってきました。これにより、ボールに回転がかかりやすく、スピンショットが打ちやすくなっています。

このスナップバックはガットの弾力性や表面の汚れなど、劣化してくると起こりにくくなってしまい、古いガットは安定して回転をかけにくくなるという事です。

 

感覚が良くなる

ガットをこまめに交換すると、弾力性が高い状態で使用することが出来るため、少ない力でもしっかりボールを飛ばしてくれます。

テニスが上達するうえでもっとも大切な動きは無駄な力みを無くし、スタートから打球後まで一連の動きがスムーズに出来るかどうか。これがすべてとも言えます。また、調子の波を大きく落とさない、という事にも繋がってきます。

社会人になれば特に貴重になる練習時間。少しでも有意義に過ごすためには常にいい状態のラケットを使いたいですよね。

力みなく打てていると、ボールがラケットのどのあたりに当たったのか繊細な振動の違いも感じられるようになるので、微妙な距離感や打点の修正も素早くできるようになりますよ。

マツダコーチ
ボールとラケットの当たり方の違いを感じられるかどうかはとても大切ですよ。
生徒さん
確かに!良い当たりをしたときはとても気持ちいいですよね。

 

ガット交換の最適な時期

古いガットでテニスをするのは良くないと分かったけど、どのレベルでも3か月で張り替えればいいの?そんな疑問にコーチとプレーヤー両方の経験からお答えします。

週3回プレー2週間で切れるのは最適

理想を言えば、一日使えば交換。そんなことが出来ればいいですがそれは現実的ではないですよね。

頻繁にプレーするジュニア選手によく言っているのは、週に3回プレーし、2週間でガットが切れるぐらいがコスト的にも性能的にも最適なタイミングだと伝えています。

プレーしていて2週間以上持つようであれば、もう少し柔らかめのガットを選ぶようにし、逆に2週間以内で切れるようであればポリなど、打感を強く感じるガットを選ぶといいでしょう。

一般の方で2週間以内にガットが切れる場合はかなりの上級者だと思いますので、切れない方は以下のタイミングがおすすめです。

 

週1、2回使用するなら2ヵ月で交換がおすすめ

スクールでは3か月に1回は張り替えてと進められると思いますが、僕は上達するなら2か月に1回張り替える事をお勧めします。

理由は、出来る限りガットの反発力を使ってボールを打つ習慣を持ってほしい事と、ガットを張り替える事によって気持ちのマンネリ化を防ぐためです。

これは、テニスコーチをしていて感じる事ですが、上達のペースが落ちてきている時とガットの張替え期間って比例していると感じる事が多々あるんです。

ガットを長期間張り替えずにプレーをしている時ってテニスに対する気持ちも落ちてきている事が多くありませんか?

前の章の感覚の話でもお伝えした通り、日によって調子の波は誰しもありますが、その波を大きく落とさないことが大切です。

ガット(ストリング)がいい状態だと、全体のパフォーマンスアップが見込めるので、こまめに交換するメリットは大きいと思います。

 

張りたてのラケットで打つと飛ばないと感じるのが最大のNG

ガットを張り替えるといつも最初は硬いんだよなぁ。 そんな風に感じる事はありませんか?

今回、最も声を大にして言いたいことは「張りたては最高!」って、ことです。テニスのガット、張り替えてしばらくすると熟成して良くなるなんて概念はありません。常に新しいものが1番いい状態なんです。

それでも、硬い・跳ばないと感じる場合は以下の3つの原因が考えられます。

1つは、張り上げのテンションが高すぎる。

近年はストリングマシンの性能も非常に良くなってきています。そのため、低めのテンションでも緩むことなく張り上げられるんです。

2つ目は、ガット(ストリング)の選択を間違えている。

いつも使っているという理由で何年も同じガット商品を選んでいませんか?また、ポリエステルは他の種類に比べてテンションの維持率か平均的に低いです。

テンション維持率の高さを売りにしているガットや、ナイロンなど他の種類を選んでみてはいかがでしょう?

3つ目は、ストリンガー、ストリングマシンとの相性。

機械は常に進化しているので、10数年前の機械からすると張り上げの安定度は飛躍的に改善されています。また、ストリンガーの癖もあるので、悩んだら同じテンションで違う人にお願いするのもいいかもしれません。

マツダコーチ
ボールが飛ばない、と感じたことはありませんか?そんな時はテンション等を変えてみるタイミングです。
生徒さん
張りたてが硬いと感じるのはテンションが高すぎたんですね。

 

張り替えるための平均的な値段コスト

張り替えるための値段はいくらぐらいかかるの?ガットの値段と張替え工賃について2つに分けて解説します。

ガット(ストリング)の値段と性能

ガットの価格は安いものだと1,500円前後から、天然素材のナチュラルガットと呼ばれるものは1万円前後と幅広くあります。

ただ、安いから悪いというわけでもなく目的に合せて選んでいきます。中心の価格帯としては3~4,000円の物が多くなります。

性能や種類で分けるとおおまかには4タイプ

まず、ナイロンと呼ばれるものが低価格帯になります。性能・価格帯どれをとっても無難な素材で、学生の初心者が使っている割合が最も高いのではないかと思います。

次に、細い糸を組み合わせて1本のガットにしているマルチ。価格としては3,000円ぐらいからはマルチと呼ばれる素材が多くなってきます。非常にソフトな打球感で、楽にボールを飛ばしたい方に好まれています。

3番目に、ポリという素材です。低価格から中価格帯まで幅広くあり、流行りの素材と言ってもいいでしょう。ポリはスナップバックが起こりやすいと言われていて、上級者になると使用割合が高くなってきます。ただ、打球感としては硬くなりテンション維持率も他の素材と比べて低くなるため、こまめな張替えが必要です。

最後に最も高価格なナチュラルガットです。大昔は羊、現在は牛の腸を原料としたガットで、糸(ストリング)の事をガットと呼ぶ由来もここからきています。

反発力が高く、打球感も非常に良いため一度使用するともう他の物は使えないと言われるほどですが、湿気や雨に弱いため、湿度の高い日はマルチ、乾燥している日はナチュラルガットと使い分けている方がほとんどです。

張り替えるためには熟練のストリンガーが高価なマシンを使用

テニスラケットのガットを張り替えるためには専用の機械が必要になってきます。機械の値段ってどれぐらいすると思いますか?

ガットを張るためだけの機械が商業用だと、だいたい50万円~100万円以上になります。

個人用として、15万円から30万円ぐらいでも販売していますが、大きな力が加わる物なので安定性や耐久性で言えば心もとない感じにはなってしまいます。

また、ラケットフレームを変形させず、緩みが無い事が良いガット張替えとされているので、安定したガット張替えを行うためには熟練の技術が必要になってきます。

数年間、何千本とラケットを張り替えてやっと一人前となり、プロのストリンガーになれば年間3,000本以上張り替えている方もいるほどです。

高価なマシンと熟練の技、どちらもすぐに手に入る物ではないので、張替え工賃があまりにも安いのは逆にちょっと心配になったりします。

ストリンガーの熟練度、地域や使用マシンによっても変わってきますが、1,500円から2,500円の間が一般的な張替え工賃と言えるでしょう。

 

コーチからおすすめの張り替え方

マツダコーチ
ここからは、みなさんが上達するためにお勧めの張替え方を紹介します。どのように張るかによってかなり上達度合いが違うと思いますよ。

誰に依頼をするか (打ち方の癖を知っているストリンガー兼コーチ、ストリンガー)

もちろん、ストリンガー経験の豊富な方にお願いするのは前提ですが、ベストだと思うのはあなたのプレースタイルを知っている又は伝えられる方に張り替えてもらうのが一番だと思います。

スピンを掛けたい。ボールが飛びすぎる。ボレーを打ちやすくしたい。等、皆さんそれぞれに悩みや希望はあると思います。

ご自身の判断だけで、テンションやガットの種類を決めるよりも、テニス経験豊富な人からアドバイスもらえるのは貴重ですよね。

もちろん、1回で完璧にフィットすることは稀ですので、何回か張り替えながら相談を重ねていくと、自分に最適なセッティングを見つけられるはずです。

そのためにも、張り替えるたびに前回のフィードバックが出来るなど、コミュニケーションをとれる相手にお願いするのが最適だと思います。

生徒さん
やっぱり、相談できる相手って大切ですよね。

テンションを上げ過ぎない

ラケットとガットでボールをしっかり飛ばす。それが現在の主流となっています。

私の感覚からすると、依頼を受けるテンションは平均して年々下がってきているなと感じています。

20年前はテンション60ポンドなんて事もありましたし、40ポンド台で依頼を受ける事は少なかったと思います。

今となっては、40ポンド台なんてざらで、女性の平均値は45ポンドを下回るぐらいの感じです。

昔の印象として40ポンド台はボヨンボヨンじゃない?今でもそんな印象を持っている方はぜひ、一度低いテンションで張ってみてください。

最近のマシンは引っ張り精度も高く、ラケットの安定度も高いので低いテンションでもシャキッとしたシャープな打感に張り上げられます。

ちなみに、僕がガットの張替え依頼を良く受けるYouTubeでも有名な元プロ選手(誰だかすぐにわかってしまいますが笑)は50ポンド前後で張り替える事が多いです。

 

プレー頻度が下がればテンションを下げる目安

昔は良く練習してたけど、久しぶりにプレーをするという方はであれば、男性は45ポンド、女性であれば42ポンドぐらいから始めてみてください。

変な力みが抜けて、スムーズなスイングが出来ると思いますよ。

上達するためにはとにかく、低いテンションでボールをコントロール出来る事が第一歩だと思います。

 

 

初級~中級者向けレベル別 上手くなるためのおすすめセッティング【種類&テンション】

さて、ここからはレベル別におすすめを紹介していきたいと思います。

経験が少なくて、どんな種類のガットを選んでどれぐらいで張ればいいの?そんな疑問を持っている方はぜひ、参考にしてみてください。

初級男性プレーヤー

種類:マルチストリング 太さ:1.25 テンション:46ポンド

アドバイス:力み過ぎず、コントロールを意識して打つように心がけましょう。ボールが飛びすぎる事を少なくしていきましょう。

初級女性プレーヤー

種類:マルチストリング 太さ:1.25 テンション:42ポンド

アドバイス:小さなスイングでしっかり飛んでくれるので、バランスを常にとれるフットワークを身につけましょう。

中級男性プレーヤー

種類:ナイロン 太さ:1.30 テンション:46ポンド

アドバイス:しっかり振ってもボールをコントロールできるようになりましょう。スピン・スライスを使い分けてみましょう。

中級女性プレーヤー

種類:マルチストリング 太さ:1.30 テンション:45ポンド

アドバイス:ボレーで強弱のコントロールできるようになりましょう。振り遅れた時に無理に打たないようにしましょう。

肘が痛い(テニスエルボー)の男女

種類:ナチュラルガット 太さ:約1.30 テンション:45ポンド

アドバイス:コンパクトなスイングを意識して、打点を前に取りましょう。 ボレー練習は避ける方が無難です。

 

最後に、僕のセッティングはというと、縦にポリ横がナチュラルガットのハイブリッドが近頃ブームになってます。軽く打ってもボールが飛んでくれる割には打球感がしっかりあり、耐久性もそこそこと、飛びと耐久性を求めるなら個人的にはハイブリッドが今のところベストじゃないかなと思っています。

 

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マツダコーチ

ストリンガー経験豊富なスタッフが一本一本丁寧に張り替えています。プレー頻度、レベル、お悩みなど、プレーを近くで観ているコーチだからわかる、おすすめのテンションで張替えいたします。