「膝を曲げて!」「腰を落として!」——テニスのレッスンで何百回も聞くこの言葉、正直きつくないですか?
実は私は、コーチなのに「膝を曲げろ」があまり好きではありません。深く曲げて耐える動きは膝にも腰にも負担がかかるし、何より疲れます。私がレッスンでお伝えしているのは、膝ではなく「股関節」と「肩甲骨」を使うこと。この2か所が使えると、ストロークは驚くほど楽になります。
この記事は、YouTube動画「フットワークは足だけじゃない|楽に打つための体の使い方」の内容を詳しくまとめたものです。

この記事を書いた人:松田コーチ(SmartSwing.Pro/株式会社SmartRanch代表)
テニスコーチ歴20年・プロツアー帯同経験あり。神奈川・登戸で「勝者のサーブ塾」「勝者のフットワーク塾」を主宰。ジュニアから大学生まで100名以上のトッププレーヤーの練習・30名以上のトッププロの試合や練習を間近に見てきた経験を、一般プレーヤーの指導に活かしている。
YouTube「松田コーチの Tennis×Think」で上達の考え方を発信中。
「膝を曲げろ」より「歩幅を広げろ」
低いボールのたびに膝を曲げてしゃがんで…正直、次の日に足にきます。



きついですよね。実は膝を深く曲げなくても、歩幅を広げるだけで、地面すれすれのボールまでラケットは届くんです。
歩幅を広げるというのは、股関節を使うということです。膝を曲げて上下にがんばる代わりに、足を大きく開いて体の位置を下げる。ふくらはぎや膝を痛めるリスクも減り、長くテニスを楽しめる体の使い方です。
股関節:大きくではなく「スムーズに」動かす
股関節のもうひとつの役割が、左右の体重移動です。腰の位置を右足から左足へスッと移せるかどうか。棒立ちのまま打つのと、股関節で体重が移動しながら打つのとでは、同じスイングでも「打てる感」がまったく違います。
ポイントは、大きく動かすことではなくスムーズに動かせること。小さい動きでも体重移動ができれば、打てるボールの範囲は確実に広がります。
肩甲骨:肘が体にくっついていませんか
下半身の次は上半身です。ボールが飛ばない人の典型は、肘が体にくっついたまま振っていること。肘を体から離して大きく動かすには、肩甲骨まわりが動く必要があります。
デスクワーク中心の生活だと、日常で使うのはほぼ「肘から先」だけ。肩甲骨は意識しないと動かせなくなっています。腕を大きく回す、肩をすくめて落とす——そんな簡単な体操だけでも動きは変わってくるので、まず「ここを使うんだ」という意識を持つことが第一歩です。
体の回転で打て、とはよく言われますが…肩甲骨は意識したことがなかったです。



そうなんです。下(腰の回転)はみんな自然にできる。でも上(肩で腕を振る)は、意識しないとできないんですよ。そしてここが、コントロールの分かれ目なんです。
回転で打つと、なぜコントロールが乱れるのか
体の回転だけで打つと、ラケット面が打ちたい方向を向くのは、スイング中のほんの一瞬です。その一瞬にジャストで当てるのは、毎回はできません。10球中何球まっすぐ飛ぶか、という世界になります。
一方、肩甲骨を使って腕を打ちたい方向へ「前に」振る動きを作ると、ラケット面がまっすぐ向いている時間が長くなる。だから、だいたいまっすぐ飛ぶんです。回転の力と、前に振る力。この2つのバランスを整えることが、コントロールの安定につながります。
センスじゃなかった。打ち方だった
これは私自身の話です。現役の頃、人一倍ボールを打っているのに、なぜかコントロールが安定しない。「やっぱりセンスなのか」と思っていました。
でも、違いました。センスではなく、打ち方だったんです。肩甲骨を意識するようになってから、ボールの質もコントロールも格段に変わりました。プロの練習を間近で見ると、みんな驚くほど楽そうに打っています。実際に聞くと「楽だ」と言う。あれは、この体の使い方が身についているからです。
私も「センスがないから」って、ずっと思ってました…。



センスのせいにするのは、まだ早いですよ。打ち方を変えれば変わります。私がそうでしたから。
自宅でできる、股関節と肩甲骨の準備運動
股関節も肩甲骨も、特別な道具なしで動きを取り戻せます。テニスの前日や隙間時間に、これだけやってみてください。
肩甲骨まわり
- 腕を大きくゆっくり回す(前回し・後ろ回し各10回)。肘で大きな円を描くイメージ
- 肩をすくめて、ストンと落とす(10回)。肩甲骨が上下に動く感覚をつかむ
- 両肘を体から離して、背中で肩甲骨を寄せる→開く(10回)
股関節まわり
- 足を大きく開いて立ち、腰の高さを変えずに左右へ体重をスライドさせる(10往復)
- 大股で一歩踏み出して、腰をすっと沈める(左右各5回)。膝ではなく股関節で沈む意識
どれも1〜2分でできる簡単なものですが、「ここを使うんだ」という意識づけとしては十分です。普段動かしていない場所は、動かし始めるだけで変わります。
レッスンでの実例:「前」が使えると打球が変わる
レッスンでよくあるケースを紹介します。ある生徒さんのフォアハンドは、後ろへの体重移動はできているのに、打球が安定しませんでした。原因は、体が回った方向にスイングが釣られて、腕が「前」に振れていないこと。
体の回転を少し我慢して、肩甲骨から腕を打ちたい方向へ振る要素を足してもらうと、その場でボールの飛びとコントロールが変わりました。回転の力と、前に振る力。どちらかではなく、バランスとタイミングなんです。
自分がどっちのタイプかは、どうすれば分かりますか?



数球打てば分かりますよ。レッスンでは最初の球出しで「後ろはあるか」「前はあるか」を見て、足りない要素だけをピンポイントで練習してもらっています。
まとめ:がんばる場所を変えれば、テニスは楽になる
- 「膝を曲げてがんばる」より、歩幅を広げて股関節を使う
- 股関節は大きくではなくスムーズに。小さくても体重移動ができれば打てる範囲が広がる
- 肘が体にくっついたままでは飛ばない。肩甲骨から腕を振る
- 回転だけで打つとコントロールは安定しない。前に振る要素を足す
- 上達を止めているのはセンスではなく、打ち方。打ち方は何歳からでも変えられる
プロが楽そうに打っているのは、才能ではなくこの体の使い方が身についているから。がんばる場所を「筋力」から「使い方」へ移すだけで、あなたのテニスも確実に楽になります。
フットワークの「体の使い方」を深掘りしました
先日の記事「テニスのフットワークが悪い原因は「足の速さ」ではない」で、フットワークは予測・体の使い方・体重移動の3要素だとお伝えしました。今回の股関節と肩甲骨は、2つ目の要素「体の使い方」の核心部分です。
「勝者のフットワーク塾」では、この体の使い方を実際にボールを打ちながら練習します。名前はフットワークですが、トレーニングではありません。どれだけ楽にボールが打てるかを目指す、打ち方のレッスンです。
- 場所:神奈川県川崎市・登戸
- 初回スポット受講(1回から受講できます)
日程・料金などの最新情報は、レッスンシステムページをご覧ください。
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「フットワーク塾 初回スポット受講希望」とご連絡いただければ、日程をご案内します。
よくある質問
Q. 体が硬いのですが、股関節や肩甲骨を使えるようになりますか?
A. なります。特別な柔軟性が必要な動きではなく、「普段使っていない部分を使う意識」の問題です。簡単な動かし方から始めれば、年齢に関係なく変わっていきます。
Q. 膝や腰に不安があっても受講できますか?
A. むしろおすすめです。この打ち方は「膝を深く曲げて耐える」動きを減らす方向なので、体への負担は小さくなります。無理のない範囲で、楽に打つ形を一緒に探します。
Q. 何から始めればいいですか?
A. まずは素振りで「肘を体から離して、肩から腕を振る」感覚をつかむこと。そして低いボールは膝ではなく歩幅で対応してみる。この2つだけでも、打球感が変わるはずです。










