テニスのサーブが「思うように入らない」または「威力がなく、相手に打ち込まれてしまう」と悩んでいる初心者の方は多いのではないでしょうか。ですが、サーブはコツをつかむと成功率がぐんと上がります。効率的なフォームと正しい練習方法で誰でも確実に上達できるのです。
今回は初心者向けにサーブの種類や上達するための手順、効果的な打ち方や練習法について、テニスYouTube”スタテニ”創設者でコーチ歴19年の松田コーチが詳しく解説します。この記事を読むことで、サーブを改善していくきっかけになればと思います。
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マツダコーチ SmartSwing.Pro代表(テニススクール運営、テニス用品開発) テニス協会公認コーチ コーチ歴19年
テニス留学中、効率的に上達する指導法に出会い、その指導に特化したスクール運営に携わった後、ジュニア部門を立ち上げ独立。
YouTubeチャンネル スタテニの撮影に携わり常にトップレベルのプレーを間近にしている。実はスタテニの前進、小野田テニスクラブ生みの親。
効率よく上達するための練習方法と器具を皆さまに提案するため日々奮闘中。
テニス初心者にはなぜサーブが難しいのか?
サーブはトスアップから打ち終わりまで、自分一人で完結するため、簡単なように感じますが、テニスにおいて最大の難関でもあります。
サーブが難しいと感じる理由は、複数の動作を同時に行う必要があるためではないでしょうか。要因として考えられる部分を以下に挙げてみます。
1. 正確にトスを上げる必要がある
サーブを打つためには、正確なトスが重要です。ボールを適切な高さと位置に上げることができなければ、サーブの成功率は大きく下がってしまいます。
初心者にとって、一定の高さと位置にボールを投げ上げることは、想像以上に難しい技術だと思います。
実際に、トスアップで悩んでいる方は多くいるように感じます。
2. ボールを捉えるタイミングが合わない
ラケットでボールを捉えるタイミングや角度を合わせることも、良いサーブを打つためには欠かせません。
トスしたボールに対して、勢いをつけながら正確なタイミングでラケットを振る必要があります。このタイミングがずれると、ミスショットになりやすくなります。
サーブ動作に慣れていない初心者のうちは、このタイミングを掴むのに苦労することが多くなります。
3. 静止した状態からサーブを打つ
サーブは静止した状態から始まるため、全身の動きを連動させることが難しいかと思います。
足の動きや体のひねり、腕の振りなど、全ての動作を一連の流れで行う必要があります。これらの動作がうまく連動しないと、力強いサーブを打つことができません。
動きながら打つ通常のストロークと比べ、静止状態から始めるサーブは、タイミングの取り方が異なるため、初心者には特に難しく感じられるのではないでしょうか。
4. 緊張感やプレッシャーがある
試合の緊張感やプレッシャーが影響することも多く、メンタルの強さも必要になります。
特に試合の開始時や重要なポイントでのサーブは、心理的なプレッシャーが大きくなります。この精神的な要因も、初心者がサーブを難しく感じる理由の一つです。
ある程度、試合に慣れ自信を持って打てないといつまでもサーブの壁を越えることが出来ません。
これらの要因が重なり、初心者にとってサーブは難しい技術となっているのではないでしょうか。
ですが、合理的な練習と基本の理解により、今まで多くの方々がこの問題をクリアしてきています。
【初心者向け】テニスのサーブの基本
サーブの種類と特徴
まず、上達を目指す前に、テニスのサーブの種類を知っておきましょう。
テニスのサーブは、主にフラットサーブ、スライスサーブ、スピンサーブの3種類があります。
フラットサーブは、最もスピードが出やすいサーブです。フラットと呼ばれるためボールが回転していない又は、力いっぱい打つサーブと誤解されやすいですが、良いフラットサーブはしっかりと縦回転がかかっていてバウンド後に加速するように感じられます。ただ、スピードが出しやすい分、ミスの確率も高くなるので、セカンドサーブではなくファーストサーブで使用されることが多いショットです。
スライスサーブは、ボールに横回転をかけて打つサーブです。ボールの側面を捉えることで、ボールが曲がるため、相手が打ち損じやすくなるサーブです。回転量が多くなるとスピードが出にくくなるので、ボールの変化量とスピードのバランスに気を付ける必要があるショットです。
スピンサーブは、ボールに縦回転をかけ、フラットサーブと比べて山なりに打つサーブです。ラケットを下から上に振り上げながら打つことで高い軌道になり、ボールが高くバウンドします。スピンサーブは、ネットを越えやすくサービスボックスに入りやすいため、ミスが少なく安定性が高いのが特徴です。また、相手に高い打点で打たせることができるため、強烈なリターンを防ぐことができます。
初心者の場合、相手というよりも自滅リスクを減らすため、ゲームを進める上でおすすめのサーブはスライスサーブですが、サーブそのものの上達を考えるのであれば、フラットサーブの上達が必須となります。
回転系のサーブ(スライスやスピン)はスピードを抑えて大きな山なりの軌道で打てるため、フォルトの確率を低くすることが出来ます。
ですが、相手のレベルが上がってくると同じような変化では慣れてきてしまい、試合後半には打ち込まれてしまう事も少なくありません。
そのため、高いレベルでプレーするためには相手が準備する時間を奪い、打ち込むことも難しくなるフラットサーブが必要になります。
フラットサーブを打つためにはスイングスピード、回転量制御、コントロール精度、全ての要素を必要とします。逆に言えば、フラットサーブの精度が高いという事は、全ての球種を打てるようになるための近道とも言えます。
上達のために、意識的にフラットサーブを練習する時間を増やして行けると良いでしょう。
サーブでのラケットの握り方
ウエスタングリップと呼ばれる持ち方はラケットをフライパンを持つように握ります。
手のひらとラケット面が同じ向きで正面に向けやすく、ボールを捉える感覚を得やすいため、初心者の方が握りやすいグリップです。ですが、サーブには適していません。
上級者がサーブを打つ時のラケットの握り方は、コンチネンタルグリップが一般的です。ラケットを地面に対して垂直に持ち、包丁を持つように握ります。
なぜ上級者は、一見力の入りにくい持ち方のコンチネンタルグリップでサーブを打つのでしょうか?
実はコンチネンタルグリップの方が、腕の振りや手首の動きを使って多くの種類のサーブを打つことができるからなんです。
スピードを出しやすく、回転もかけやすい。それがコンチネンタルグリップでサーブを打つ理由です。
初心者のうちはコンチネンタルグリップに慣れるまで時間がかかるかもしれませんが、根気強く練習することが大切です。正しいグリップを身につけることで、サーブの精度と威力が大きく向上するので頑張りましょう。
トスの上げ方とタイミング
トスは、サーブの成功率を大きく左右する重要な要素です。このトスが上手く上げられないためにサーブに苦労しているという方も少なくありません。
トスの位置は、頭の真上よりややネット寄りで、腕全体を使ってスムーズに上げることが大切になります。手首のスナップだけで上げると、安定したトスが上げられません。
トスの練習は、ラケットを使わずにボールだけで行うことができるので、イメージ通りのトスがあげられているか練習してみましょう。
サーブを打つときの立ち位置
サーブを打つ際の立ち位置は、ベースラインのすぐ後ろです。右利きの場合は左足を前に、左利きの場合は右足を前に置きます。
この立ち位置から、狙うコースに応じて少し左右に動くことがあります。
テニス初心者のためのサーブの基本的な考え方
テニスのゲームではサーブを2回打つことが出来るので、2球目には入る確率の高いサーブを打たないといけません。
1球目はチャレンジ、2球目は安定。そう考えて打つと迷わず打つことが出来ます。
特に、2球目を安定して入れるには回転をかけたサーブを打つ必要があります。
2球目の選択肢として私のおすすめはスライスサーブですが、肩回りの筋力に自信がある方はスピンサーブも取り入れてみてもいいかもしれません。
スピンサーブ
スピンサーブは、安定性が高く、2球目のセカンドサーブにもおすすめのサーブです。
トスしたボールに対してラケットを下から上に振り上げ、ボールの後ろからボールの下側を捉えることで、ボールに縦回転がかかり高く跳ねます。
スピンサーブはバウンドが高くなるため、高い打点が苦手な相手に効果的です。安定性が高く、ダブルフォルトのリスクを減らすことができます。
スライスサーブ
スライスサーブは、ボールに横回転をかけることでバウンド後に横に曲がるサーブです。
ボールの外側を打つようなイメージでスイングすることがポイントです。トスの位置は右利きの場合、やや体の右側に上げるとよいでしょう。
右側に上げることで自然なスライス回転がかかり、ボールがバウンド後に変化します。そうすると、相手をコートの外側に追い出しやすくなります。
これら2種類のサーブを確実に打てるようになれば、試合での選択肢が広がり、相手を揺さぶることができます。
初心者がサーブを練習する方法
ここで、おすすめの練習方法をいくつか紹介します。
まず、サーブの良い打ち方のイメージを持つことが大切です。
サーブを打っている動画等を確認し、ご自身でも一連の動きを真似して素振りをしてみる事をおすすめします。今までにない動きなので、素振りだけでも苦労するかもしれません。
何となく動きのイメージが出来たら以下の練習を試してみてください。
自宅でできるサーブ練習
テニスコートに行かなくても、自宅で効果的な練習ができます。まず練習したい内容としてはトスです。
トスを上げる動作は簡単なようで、安定するまで練習が必要です。ボールを同じ位置に上げる練習を行いましょう。
同じ高さまで上げてキャッチする練習をすることで、安定したトスを身につけることができます。
全身が映る鏡の前でスイングをチェックすることも効果的です。体の使い方や重心移動を確認し、効率的なフォームを身につけます。
短い距離から始める練習
コートでの練習では、短い距離からサーブの練習を始めるのが効果的です。
サービスラインの内側からスタートし、徐々に距離を伸ばしていくことで精度を高める練習を行ってみましょう。これは、実際にスクールでも常に行っている練習です。
ボールをしっかりと狙った場所に打てるよう、精度を上げる事を目標にしましょう。
短い距離での練習は、正確なトスとスイングのタイミングを掴むのに役立ちます。フォームが崩れないように基本動作を確認しながら、少しずつ距離を伸ばしていくのがおすすめです。
回転をかけてボールをコントロールする練習
ボールに回転をかけることで、サーブの安定性と効果が高まります。
スピンサーブやスライスサーブの基本動作を確認し、ボールに回転をかける感覚を身につけることが大事です。トスの位置やスイングの角度を調整しながら、安定して回転をかけられるように練習しましょう。
ラケットの握り方や手首の使い方も変えてみるとよいでしょう。初心者はスピードよりもコントロールを重視しましょう。
ダブルフォルトを避ける練習
ダブルフォルトは試合の流れを大きく変える可能性があるため、出来る限り避けなくてはいけません。
ダブルフォルトを防ぐためには、セカンドサーブの安定性を向上させることが重要です。
まずはトスの練習をしっかり行うことが大事です。トスが安定しないとサーブ全体のリズムが崩れ、フォルトの原因となります。
ですが、トスで力んでしまうと安定したトスにはなりません。
とくにセカンドサーブは、ファーストサーブよりも確実性が求められるため、スピードよりもコントロールを重視しましょう。
力まずに、確実にサービスボックスに入れることを目指すことが大事です。6割くらいの力加減で練習するとよいでしょう。
これらの練習方法を組み合わせて、段階的にサーブの技術を向上させていきましょう。焦らず、一つひとつの動作を丁寧に身につけていくことが、上達の近道となります。
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